20181月、僕が主宰するおぼんろ劇団員の戦友さひがしジュンペイが演出する舞台公演ゲイジュツ茶飯「バイオレットピープルの涙」というのに、僕は、作品を提供することになりました。ご覧になった方いらっしゃるでしょうか。このコーナーでは、僕がこの作品を描き上げるまでの経緯をささやかな連載として綴っていこうかと思っております。そこまで機密めいたことを書くわけではありませんが、そこそこに、恥ずかしいことや、オフィシャルな場では言えないようなこともここには記すので、ここで読んだこと、耳にしたものの取り扱いには十分に気をつけてくださると嬉しいです。そもそも、完成する前の作品素材を公開するという素っ裸感もありますので。

 

 第一回では、この作品を執筆するに至った経緯と、なんの手がかりもお題もないところからなぜこんな突飛なタイトルの物語を描き始めるに至ったのか、抜群に貴重な音源と共にお楽しみください。

 

劇団員さひがしとゲイジュツ茶飯

 そもそもこのゲイジュツ茶飯、僕がヒトデキというシリーズをやっている時から何度もお世話になっているバニラスタジオという場所がありまして、そこのオーナーの古賀さんが、実は4つだかライブスペースのようなものを経営してまして(すごい!)、そのうちのひとつで、一般公募の俳優たちを集めて演劇公演をしたいので、演出家を探している、とい

う話を僕が聞いたところから始まりました。や、まあ、そんな、立ち上げに関わったような顔をするほど何かをしたわけじゃないんですが、さひがしを推薦したというか、そそのかしたというか、そんな感じです。

 

 んで、さひがしは古賀さんのところに打ち合わせに赴いたそうなのですが、僕も、弟分の分際でソワソワと抜群に親心めいたものを振り絞って心配もしていたのですが(さひがしは少し情緒に問題がある男なのです。かつては瞬間湯沸かし器と呼ばれていました。まあ、今は、ね、二人の可愛い子供に恵まれて、随分温和になりましたけど、でもね・・・と、おっと、脱線しすぎた)、さあ、打ち合わせが終わったと言うさひがしから電話がきたときは僕は確か夜中に妄想に耽りながら新宿をふらついていたタイミングだったように思うんですが、もう、さひがし、大がつくほどの興奮具合。古賀さんとめちゃくちゃに意気投合し、とんとんとん!と、企画が決まったのだそうです。

 

で、「なんでもいいから短編を描いてくれたら嬉しい。そうしたら企画も盛り上がるから!」と言われた。実のところ、僕の頭は無限に物語をポコポコ生みだしてくれる機能があるのだけれど、机に座っているのが苦手なので、誰かに「しっかり読める状態」で物語を贈るのは、それなりに一回死んでしまうくらいの苦しみを味合う。だけれど、物語を生むのは好きだし、仲間を嬉しがらせたい一心であるし、古賀さんにさひがしを紹介した責任もあるし、例によって例のごとく、渾身の安請け合いを決め込んだ。「ギャラは用意しなくていいよ。報酬は、あなたの笑う顔さ」なんてことも言ったかも知れない。言ってない。